最新の器材と沖縄県産素材を使った琉球ミクソロジースタイルバーアルケミスト
“ミクソロジー”という言葉を聞いたことがありますか?mixology(ミクソロジー)はmix(混ぜる)と〜ology(科学)を組み合わせた造語で、既存の枠とらわれることなく、さまざまな最新調理法を取り入れてアイデアが詰まったカクテルを提供するバーが世界的に注目されはじめています。今回ご紹介させていただくのは、沖縄初のミクソロジーバー「琉球ミクソロジースタイルバーアルケミスト」。バーテンダーの中村智明(なかむらともあき)さんにお話を聞かせていただきました。
−琉球ミクソロジースタイルバーアルケミストはどのようなバーですか?
最新の器材と沖縄の素材を使ってオリジナルのカクテルを提供するバーです。
−最新の器材というのは、たとえば?
エスプーマ、スモークマシーン、液体窒素、食品乾燥機、蒸留器、アロマスモーク、真空調理器、カーボネイトシェイカーなどです。エスプーマは食材をムースのような泡状にしてくれるので、ふわっと軽い食感と濃厚な味わいを作り出してくれます。液体窒素はカクテルを氷結させてフローズンカクテルを作ったりしますし、蒸留器では例えばヨモギや月桃を蒸留して芳香蒸留水やシロップを作ります。食品乾燥機ではトマトやゴーヤー、柑橘系のフルーツなどを乾燥させて、カクテルの仕上げに添えたりしています。
−中村さんはバーテンダー歴が長いそうですが、いつからバーテンダーをされているのですか?
バーテンダーは19歳の頃からはじめたので、20年目です。
私は熊本県出身で、沖縄に移住した当初は保育士の専門学校に通いながら、夜はバーでアルバイトをしていました。専門学校卒業後は保育士になったのですが、それだけでは生活が厳しかったので、バーのアルバイトも続けていたんです。保育士2年目の途中ぐらいからだったと思うのですが、パフォーマンスをしながらカクテルをつくる“フレアバーテンダー”に興味を持ち始めて、修行するために週2~3フレアバーで働かせてもらいました。3つの仕事を掛け持ちしていたので、だんだん体力的にしんどくなっていました。自分としては、フレアバーテンダーに対する興味が最も高くて…そのタイミングで「正式にうちで働かない?」とフレアバーから声をかけてもらったんです。北谷の「ECLIPSE(イクリプス)」というバーです。そこで3年間働かせていただきました。その後は業務委託という形で、沖縄市でフレアバーを3年させていただき、その後は北谷にある沖縄Tシャツブランド「HABUBOX」の飲食部で2年、那覇のロワジールホテルで3年、シェラトンホテルで2年働かせていただき、2018年8月にアルケミストを立ち上げました。
−なぜミクソロジーバーをオープンしようと思ったのですか?きっかけは?
ロワジールホテルで働きはじめた頃から、日本全国のカクテルコンペティションやショーに参加するようになりました。出張フレアバーテンダーとして仕事をしていきたいという気持ちがあったので、受賞歴や実績を増やすために。2015年か2016年ぐらいだったと思うのですが、関東大会が終わってから新宿にあるバー「ベンフィディック」に立ち寄りました。その日はN Yからゲストバーテンダーがいらっしゃっていて、日本のトップバーテンダーもたくさん見に来ていました。その後の親睦会に私も参加させてもらったのですが、カクテルに対する考え方が皆それぞれ違って、面白いと思いました。その時に思ったんです。土台をしっかりした上で、ミクソロジーを行っていきたいなぁ、と。その頃沖縄にはミクソロジーバーがなかったこともあって“ファーストペンギン”を目指そうと思いました。
−店名に“琉球”とついていますが、それはなぜでしょうか?
沖縄にこだわっているから、です。シークヮーサーや月桃、フーチバー(ヨモギ)、紅芋、ゴーヤー、さんぴん茶、島唐辛子…食材は極力沖縄のものを使っていて、食材以外にも今村能章さんや山上學さん、紺野乃芙子さんなど沖縄で活動されている作家さんの器だったり、フードメニューは、沖縄初のBean to Barスタイルのチョコレート専門店「タイムレスチョコレート」や、沖縄市の自家製ハム・ソーセージ専門店「TESIO(テシオ)」から仕入れたり。県内で頑張っている方たちを応援したいのと、沖縄の経済を活性化させるような店舗にしたいという想いから“琉球”と付けました。
−カクテルは何種類ぐらいありますか?他では見たことがないカクテルばかりですが、どのように生み出しているのですか?
オリジナルカクテルは60~70種類ぐらいあると思います。バーホッパーやバー好きな方のために作ったカクテルもあれば、バーにあまり行き慣れていない方のために分かりやすいカクテルもご用意させていただいています。いろんなものを参考にしていますよ。料理人やパティシエの本だったり、アロマの精油の組み合わせだったり。本が好きなので、さまざまなジャンルの本を読んで勉強しています。
オリジナルメニューを考える時は、最初にテーマを決めます。例えばテーマが「パッションフルーツ」だとしたら、パッションフルーツに合うハーブやスパイスを考えて、それから「少し酸味を加えてみようか?」と頭の中でレシピを考えます。イメージがまとまったら実際につくって飲んでみて、使った全ての材料の風味をしっかりと感じられるか確認します。それで材料を増やしたり、減らしたり。五味五感で味わえるカクテルを目指しています。
−まさひろオキナワジンを仕入れた理由
沖縄にこだわった店舗をする上で、沖縄のクラフトジンは全て使ってみようと思いました。まさひろオキナワジンは沖縄で初めて製造されたクラフトジンということもあって認知度も高いですよね。沖縄のクラフトジンは3社から販売されていますが、それぞれ個性があって面白いと思っています。
−他の2社と比べて、まさひろオキナワジンの印象はいかがですか?
泡盛感がしっかりと残っていて、これはバーテンダーからすると物議を醸し出していたのですが(笑)一般の方たちからすると、これぐらい泡盛感があった方が“沖縄”らしくて良いのかもしれません。泡盛に加えてシークヮーサーの香りもブワッと出てくるので、カクテルを作り慣れていない方がまさひろオキナワジンを使って家で作ったとしても、特徴が損なわれないと思います。
−こちらでいただけるまさひろオキナワジンを使ったカクテルを教えてください
6種類のボタニカルをシンプルに感じられる「まさひろ沖縄ジントニック」と、沖縄で親しまれているタンカンを使用した「まさひろオキナワジン レシピ02」を使った「まさひろエスプレッソジントニック」です。
まさひろエスプレッソジントニックは、タンカンの風味のまさひろオキナワジンに自家製のカシアシナモンの風味を入れたウォッカを少量とトニックウォーターを注ぎ、仕上げに浅煎りのイルガチャフというコーヒー豆で抽出したエスプレッソを注いだカクテルです。コーヒー豆は深入りでも試してみたのですが、浅煎りの方が柑橘系の風味と合っていて、エスプレッソの風味も感じられたのです。
−まさひろオキナワジンを自宅で楽しむなら?
あらかじめジンを冷凍庫でよく冷やしておきます。グラスに氷を入れて、冷凍庫で冷やしておいたジンを注ぎ入れて、そこへ冷えているソーダを注いだジントニックが良いんじゃないでしょうか。大切なのは、ジンの温度を下げておくこと。そうすることで、ソーダーを注いだ時に香りが立つのです。ジンのボトルが場所をとるので、グラスにまさひろオキナワジンを入れて冷凍庫で冷やすのでも大丈夫です。まさひろオキナワジンは、シンプルに飲んだ方が風味が出るのかな、と思いました。
−ジントニックと相性の良い料理は?
ジントニックがさっぱりとしているので、洗い流す系なんです。なので、口の中が濃厚になるものでも合うと思います。例えばゴーヤーチャンプルーとか。油で炒めるじゃないですか。ジントニックが口の中をスッキリさせてくれるんですよね。
−中村さんが好きな沖縄のスポットを教えてください
たくさんありますが、南城市の海とカフェ巡りが好きです。那覇からちょうど良い距離感なんですよね。ドライブしながら南城市に向かって、カフェから景色を楽しみながらゆっくりする時間は幸せを感じます。
琉球ミクソロジースタイルバー アルケミスト
https://alchemist.okinawa
Photo&text:舘幸子
テキーラの魅力を発信するテキーラバー「Elote(エローテ)」がオススメする、まさひろオキナワジンの味わい方
メキシコを中心に自生する多肉植物アガベ(リュウゼツラン)の茎を原料に作られるテキーラ。日本ではまだあまり馴染みのないお酒ですが、アガベ特有の甘さや味わいは世界中のテキーラファンを魅了し続けています。今回は、沖縄初のテキーラ専門バー「Elote(エローテ)」の店長 渡邉憲夫(わたなべのりお)さんにお話を聞かせていただきました。渡邉さんは日本テキーラ協会が認定するテキーラ・マエストロ(ソムリエ)。「テキーラの魅力を日本でも広めたい」というビジョンを胸に、日々活動されています。
−なぜテキーラ専門バーをオープンされたのでしょうか?
テキーラは誤解されやすいお酒だと思います。日本では「クセが強くて飲みづらい」と思っている方や「ショットで一気飲みするお酒」「テキーラショットで罰ゲーム(翌日は二日酔い)」というようなネガティブなイメージを持たれている方が多いですよね?海外ではそんな立ち位置にはいないので、そのことを認識していただきたいです。
実際に海外ではセレブやハリウッドスターの間で愛飲者が多くて、ギタリストのカルロスサンタナ、ヴァンヘイレンの元ボーカリスト サミーヘイガー、ロックバンドのAC/DC、俳優のチャーリーシーンなどがテキーラをプロデュースしています。ジョージクルーニーが立ち上げたテキーラブランド「カーサミーゴス」は特に有名ですね。最近ですと、マイケルジョーダンがテキーラ「cincoro(シンコロ)」をプロデュースして話題になりました。
原材料が植物由来というところで、健康志向の高いセレブに注目されたのかもしれません。
テキーラって、ワインやビールのように焦点を当てられることがあまりないですよね。ですから、正しい情報を発信しながら多くの方に楽しんでいただけるようなお店でありたい、と思っています。テキーラの間違ったイメージを変えていきたいです。
−エローテではどれぐらいのテキーラを扱っていますか?
200種類以上です。これだけの数を扱っているテキーラ専門バーは、沖縄ではここだけだと思います。その他にもスピリッツや蒸留酒など、一般的なバーで揃えているお酒は一通り揃えています。
−渡邉さんがテキーラに興味を持ったきっかけは?
私は神奈川県川崎市の出身なのですが、川崎駅前はテキーラーのトップブランド「クエルボ」のシェア率が日本一になるぐらいの場所で「なんでこのお酒はこんなに飲まれているんだろう?」と思ったことがきっかけです。ちょっと調べてみたら、意外と厳重に管理されているお酒だということが分かって「面白いな」と。その時にタイミングよく日本テキーラ協会のことを知り、学んでみようと思って受講しました。
−川崎出身とのことですが、沖縄に移住されたのはいつですか?
今から2年半ほど前です。東京にGatito(ガティート)というテキーラ専門バーがあるのですが、エローテは姉妹店にあたります。エローテをオープンする際、店長として雇ってもらうことになりました。Gatitoの店主 伊藤裕香さんとはもともとテキーラ仲間で、声をかけてくださったのです。
沖縄は住む場所ではなく“息抜きで行くところ”という感覚でした。沖縄は好きで、年に1度は遊びに来ていたんです。知り合いがうるま市に住んでいたので、うるま市でボケーっと過ごしていることが多かったです。今は那覇に住んでいますが、移住するまで那覇のことはほとんど知りませんでした。
−エローテの客層は?
「客層は幅広いですね。沖縄に住む地元の方も、観光やお仕事で沖縄に来られた方も。国籍も様々です。最近は「テキーラに興味がわいたから」と、探して来て下さる方が増えてきて、嬉しく思っています。」
−テキーラの正しい飲み方を教えてください
お好きなように…と思っていますが「テキーラって初めてで、専門店があると聞いて来てみたんです」という初心者の方には「まず飲み比べしてみましょうか」と提案させていただくことが多いです。ストレートの状態で飲んでいただくと味が分かりやすいので、何かと割らずに。その際は一気飲みするのではなく、適したグラスでゆっくり味わっていただきたいです。
−エローテでは、テキーラを使ったカクテルもありますか?
テキーラベースのカクテル、マルガリータをフローズンスタイルに仕上げた「フローズンマルガリータ」は人気ですよ。テキーラのアルコール度数は35度から高いものだと55度ありますが、フローズンカクテルにすると口当たりが優しくなるので。
それから、認知度があまり高くないのですが「パローマ」というカクテルもおすすめです。パローマはスペイン語で鳩という意味です。メキシコにはグレープフルーツとライムのフレーバーが効いたスクアートという炭酸飲料があるのですが、テキーラをスクアートとソーダで割って、ライムを絞って、グラスの縁に塩をつけるカクテルです。日本のグレープフルーツサワーに近い感じでしょうか。飲み口が良いので「すいすい飲んでいたら千鳥足になってしまう」というところから、このように名付けられたそうです。
−テキーラ初心者におすすめする1本は?
銘柄で申し上げますと、Don Julio(ドンフリオ)でしょうか。最高級のアガベだけを使用し、原材料から製法まで徹底した管理のもとで作られたドンフリオは辛味がおとなしくスムースで口当たりが優しいのが特徴です。長い間支持されている銘柄で、ブランドイメージはテキーラ界の中でも随一の人気を誇っています。熟成期間が異なる3種類をご用意していますが、新種は青々しく爽やかな味わいが楽しめ、熟成させるほどにバニラ香が強くなります。
−まさひろオキナワジンを仕入れた理由
まず、私は泡盛というものに興味があります。フランスのシャンパーニュ地方で作られたスパークリングワインのみがシャンパンと名乗ることができますが、テキーラも原産地呼称が世界で認められていて、5つの州(ハリスコ、ナヤリ、タマウリパス、ミチョアカン、グアナファト)内で製造されたものしかテキーラの称号を得ることはできません。琉球泡盛もそうですよね、沖縄で、タイ米と黒麹菌を使用して全麹仕込みで製造されたものを琉球泡盛として産地呼称が認められています。そして泡盛もテキーラ同様「飲みづらいお酒」と勘違いされることが多い。そんな共通点もあって、泡盛には興味があったのです。泡盛酒造がジンを出したと聞いて…。興味を持たない理由がないですよね(笑)。
−まさひろオキナワジンの魅力はどんなところだと思いますか?
まさひろ酒造、瑞穂酒造、石川酒造、沖縄ではこの3社でジンを作っていると思うのですが、私の感覚ではまさひろ酒造のジンが最も泡盛の風味が残っていると感じました。それぞれ個性が異なってどれもおいしいのですが、まさひろオキナワジンは原材料の香りが力強く出ている印象です。焼酎ファンとジンファンを繋いでくれるのではないかと思います。
−まさひろオキナワジンのおすすめの飲み方は?
ソーダ割りや、ソーダとトニック半々で割るのが良いと思います。柑橘の皮をキュッとひねって、香り成分を飛ばして香り付けするとさらにおいしさが増すのでおすすめです。まさひろオキナワジンはシークヮーサーを使っているので、シークヮーサーの皮で香り付けするのがベストだと思います。
それから、意外と牛乳割りも好きです。ジンと牛乳は1対4の割り合いで。牛乳がジンをふわっとコーティングして、柔らかくシルキーな味わいにしてくれるのです。
−まさひろオキナワジンに合わせるおすすめのフードは?
トマトが合うと思います。なぜかと申しますと、ジンは蒸留酒なので糖分が残っていないですし、旨み成分が出づらいお酒です。料理でその足りない旨み成分(グルタミン酸)を補うことで、バランスがとれます。トマトはグルタミン酸が含まれた野菜なのでまさひろオキナワジンには合うはずです。甘酸っぱいトマトのマリネや、季節のフルーツとトマト、エビを合わせてサラダ仕立てにしても良いと思います。
−渡邉さんが好きな沖縄のスポットを教えてください
自宅が那覇なので、休日にはお散歩がてらフラフラっと近所の酒屋さんに寄って缶ビールを買って、波の上ビーチに行ってのんびり過ごすことが多いです。最高の過ごし方ですよね?観光で来られた方にも、この過ごし方はおすすめしたいです。
Elote(エローテ)
住所:沖縄県那覇市牧志1-1-39 ステップビル4F
https://www.facebook.com/tequilabar.elote/
Photo&text:舘幸子
泡盛のカリスマ、泡盛倉庫の比嘉さんに聞く「まさひろオキナワジン」の魅力
泡盛初心者から通まで楽しめる会員制の泡盛専門バー「泡盛倉庫」。こちらは知る人ぞ知る沖縄の名店です。インターホンを押して入店すると、壁一面に泡盛のボトルがずらり。沖縄県内にある全47酒造所の泡盛800種類(以上)を取り揃えているだけあって、圧巻の眺めです。今回は、そんな泡盛倉庫の店主 比嘉 康二(ひが こうじ)さんにお話しを聞かせていただきました。
−比嘉さんが泡盛に興味を持ちはじめたのはいつ頃でしたか?
泡盛は常に身近にありました。親父を見て“酔っ払うお酒”というイメージが強かったので、幼い頃からあまり良い印象は抱いていませんでした。ですが、年齢を重ねて興味を持ちはじめていました。国際通りの泡盛専門店で働いた後、もともとあった泡盛倉庫を2009年に私が前任者から引き継ぐ形で泡盛倉庫の店長に就任しました。
−会員制にされたのはなぜですか?
ワイワイ楽しむスタイルでお酒を提供するのも良いのですが、泡盛はこの土地のお酒で物語があります。おいしい飲み方はもちろん、合わせる食べ物、できればその背景にある土地の歴史や生産者さんの想いまでお伝えしたいと思っています。一本一本の物語をしっかりとお伝えしたいので、会員制にさせていただきました。会員制と聞くと、どうしても重い言葉にはなってしまうのですが…。
とは言え、一見さんも事前予約で一回のみになりますがご案内させていただいています。永久登録料に20,000円かかりますが、更新料もなく、一生かけて泡盛と皆さまを繋げます。チャージ料金は2,000円で、お酒は原価。一杯50円からご用意していますので、気軽にいろんなお酒たちと出会って、おいしさやその背景に触れてほしいと思います。お酒は泡盛だけでなく、沖縄に縁のあるラム酒やジンなども揃えています。
−利用されるお客様はどのような方が多いのですか?
玄人向けのお店ではないと私は思っていて、皆さま、この土地のお酒や歴史を楽しみたいとワクワクしながら来店してくださいます。県外出身者や出張、観光で来られている方が6割ぐらいでしょうか。沖縄を訪れるたびに立ち寄ってくださる方や、私が泡盛普及活動する際イベント出張で県外に行かせていただくことがあるのですが、その時にご縁が繋がって遊びにきてくださる方もいらっしゃいます。お客様は40代前後の、探究心の強い方が多い印象です。
皆さん、酔うために来るというのは間違いないのですが、どちらかというとお酒やお酒にまつわるストーリーを求めて来てくださっているという印象で…。県外の方は「(旅行や出張で)せっかく沖縄に来たのだから、より深く沖縄を楽しもう」と思ってくださる方が多いです。地元の方たちは良い意味でずっと身近にあったので、深く探究することが減ってしまったのかもしれません。
−最近若者のアルコール離れが進んでいるようですが、そのことについてどう思われますか?
私のまわりではそんなこと起こっていないので、全く感じていないのですが(笑)。でも理解はできます。なぜかというと、選択肢が増えている時代だからです。スマホひとつ持てば世界中と繋がることができて、各国からトレンドが入ってきて…。いろんなものでワクワクできる良い時代なので、お酒以外の楽しみやコミュニケーションツールが増えたということです。
泡盛倉庫で人気の泡盛サングリア
−泡盛=キツイお酒というイメージを持っている方も多いようですが、どう思われますか?
古酒(泡盛)は“アルコール度数がキツくて飲みにくいお酒”と思っている方もいらっしゃるのですが、それは度数の問題ではなく、飲み方が適切でないからそのように感じてしまうケースが多いです。例えばワインはワイングラスで飲みますよね?ワインはビールジョッキでゴクゴク飲まないですし、ビールジョッキで飲んだら誰もおいしく味わえません。ワインは専用のグラスに注いでチーズと一緒に味わうからこそ、ワインの特徴や魅力を最大限に引き出せるのです。泡盛も同じです。熟成期間の長い古酒は“飲む”のではなく、おちょこに注いで、なめるように少しずつ味わいます。時間をかけて味わうことで、深みや香りが楽しめるのです。
お酒がネガティブなのではなく、飲み方や量に問題があるだけで…。高い度数だからこそ、ゆっくり時間をかけて味わうのですよね。その飲み方に出会う時に、お酒のイメージや概念が変化していくんだろうな、と思います。
−泡盛初心者におすすめする1本は?
まさひろオキナワジンをご紹介したいです。沖縄で育ったシークヮーサーやゴーヤー、グァバなどが溶け込んでいるまさひろオキナワジンは、地域の物語が想像できるお酒です。
飲み方は、基本的にはジントニックが良いと思いますが、泡盛のジンってちょっと重くなりやすいんです。なので、ソーダとトニックウォーターを1対1で割った“ジンソニック”が飲みやすいかもしれません。糖分が入り過ぎてしまうと香りが出づらくなることがありますが、少し甘みがあった方が飲み慣れていない方には良いと思います。
まさひろオキナワジンは、泡盛初心者の方には良い入り口になるんじゃないかな、と思います。
−ジンソニックに合わせる料理は何が良いと思いますか?
まさひろオキナワジンで作ったジンソニックは、フレーバーがあって、爽快感があって、甘味もあって…この一杯って、もう完成しているんですよね。まずは単体で、爽快にゴクゴクっと飲んでいただきたいです。この香りと喧嘩せず香りを生かせる料理といえば、スパイスカレーではないでしょうか。ジンの爽快感で辛味を抑えられるのも良いと思います。
それから、ジンソニックはちびちび飲むよりもゴクゴクと飲むほうが絶対に美味しいです。ですから、日本酒のアテのようなものよりも、ボリュームのある料理の方が合うんです。例えば、ゴーヤーチャンプルーを食べる時は、オリオンビールや、泡盛だったらストレートではなく水割りにした方が合います。飲むボリュームと食べるボリュームを合わせる方がペアリングしやすいのです。
−疲れた時、癒やしを求めている方におすすめしたい沖縄のおすすめスポットを教えてください
海!と答えれば間違いないですよね(笑)。私も昨日行ってきました。沖縄のバー巡りも良いと思います。空間演出がしっかりとされているバーは、ゆったりとした時間を過ごしたい時に良いですよね。沖縄の夜というと“ワイワイ乾杯!”というイメージも強いと思いますが、それだけではないです。ぜひリサーチしてみてください。そして、その中のひとつに泡盛倉庫があれば、なおさら嬉しいです(笑)
泡盛倉庫
住所:沖縄県那覇市久米2丁目8-14-4F
電話:098-869-0808
http://awamorisouko.jp